哲学の道

地下鉄東西線蹴上駅を下りて地上に上がると、東山の山々が間近に感じられます。
その麓は、名刹や古刹、見所が点在する京都随一の散歩道。
肌に触れる空気の鋭さ、木々のくすんだ色から、冬の到来をひしひしと感じます。
紅葉の盛りも終え、普段の表情を感じられるのでは思い、哲学の道を中心に歩いてきました。
哲学の道付近の詳細地図はこちら!

駅からインクラインに沿って歩いて北に歩いていきます。インクラインとは明治時代、運輸船を走らせるために作られた軌道敷。交通量の多い横の道路と対象的に時間がとまったままのような姿が印象的です。 インクライン
インクライン

南禅寺 東山
東山
南禅寺 三門
南禅寺 三門
湯豆腐の店や松の木などを横目に見ながら、南禅寺への参道を歩きます。程なく到着。門をくぐると、樹齢何百年は経っているだろう木がそびえています。その向こうに荘厳ない威容を見せるのが三門。かなりの迫力です。500円で三門に登ってみることに。

急な階段を登ると眼前に現れるのが、冬の澄み切った空気の中広がる市街の風景。冬姿へと向かう東山も見えます。裏に回ると真っ赤な紅葉が目に入りました。紅葉は全く期待してなかっただけに感動もひとしお。石川五右衛門の名文句「絶景かな、絶景かな」も大いに納得です。 南禅寺 水路閣
南禅寺 水路閣

南禅寺 庭園
南禅寺 庭園
明治時代の疏水で、アーチ形、レンガ造りの水路閣や、庭園や狩野派の襖絵が見られる方丈も見応え十分です。特に方丈にある庭園では縁側でゆるやか時間が楽しめます。行った時は人が少なく、暫しの間、その空間を独り占めすることができました。静寂の中、柔らかな日差しを浴びて座っていると、心が安らいでいくのが実感できます。贅沢な時間を満喫し、嬉しい誤算続きに気分を良くして、南禅寺を後にします。

さらに北へ歩を進めます。人力車の人も、さすがに人が少なく営業は苦戦中。白壁を右手に見つつ、ゆるやかな登り坂を歩いていきます。悪くない雰囲気の道なのですが、タクシーの交通が頻繁・・・。

そうこうしている内に永観堂に到着です。
永観堂前の人力車
永観堂前の人力車

永観堂は「モミジの永観堂」という別名があるほど、紅葉の美しさで有名。つい先日までは、多くの人でごった返していただろう境内も、今日はがらがらです。禅寺らしい落ち着いた佇まいで迎えてくれます。所々に残る真っ赤なモミジが、去り行く秋を惜しむかのようです。拝観料600円を払い、中に入ります。

南禅寺三門とは一味違った京都市街の風景が見られる多宝塔、左に振り返った姿の顧阿弥陀など見所は盛りだくさんですが、興味深いのが永観堂の七不思議。これを探して見るのも面白いかもしれません。普通に参拝していると一つしか明記してないので、ちょっと分かりにくいかも。ちなみに私は、その一つしかわかりませんでした…。お寺の方に聞くと、観光客が少なくて暇だからなのか、それとも仏門に仕える者だからなのか、丁寧に全部教えてくださいました。もう一度話しに沿って見てみるとその趣もまた違ってきます。

存分に永観堂を堪能し終えるとお昼もだいぶまわったところ。先ほど話を聞いた時に、ついでに尋ねておいたうどんやへと向かうことにします。
永観堂
永観堂
永観堂 多宝塔
永観堂 多宝塔

永観堂から北に5分ほど歩くとその店がありました。「日の出」というこの店は、カレーうどんが名物とのこと。鳥入りのカレーうどんを頼むと、おばちゃんが「ご飯はいらん?」と聞いてきます。

セットが基本なのかと思いつつも断り、運ばれてきたうどんをすすります。寒いこの季節にはうれしい、体の芯から温まりそうな辛さ。そして、「ご飯下さい」。白い米が欲しくなる味です。おばちゃんが言うとおりでした。今回は辛口を食べましたが、4段階の辛さがあります。次、来た時は激辛に挑戦か?
日の出のカレーうどん
日の出のカレーうどん

哲学の道
哲学の道
哲学の道 熊野若王子神社
熊野若王子神社
少し南に戻り坂道を上がると、哲学の道の南端に。古木がそびえる横に熊野若王子神社があります。小ぢんまりとした境内では、蒸しご飯の販売もやっていました。進学・縁結びの神様としてご利益もあるそうです。

哲学の道を北上します。と、すぐに京都茶室棟叶匠壽庵なる茶室を発見。食後の一休みということで一服することに。ここではお手前をいただくことができます。

和菓子つきで1050円。この菓子が美味い!立礼席という座敷ではなく、椅子に座っての形です。正座が苦手な人もこれなら大丈夫。1席15~20分位です。
哲学の道 叶匠壽庵
叶匠壽庵
哲学の道 抹茶  和菓子つき
抹茶 和菓子つき

哲学の道 紅葉が残る木
紅葉が残る木
哲学の道 観光地のお約束
観光地のお約束
ゆっくりと休んだ後、散策を再開します。小川沿いの木々は所々紅葉が残りますが、枯落ちたものが多く、少し寂しげな風情。ですが、ここも人が少なく、ゆっくりと自分のペースで散策を楽しむことができます。 時折差し込む西日が温かくのどかな気分を誘います。木や川を横目にのんびりと歩を進めるのがとても気持ちよい道です。途中、こんなものもありましたが、観光地のお約束といった感じでしょうか。

その右手の橋を渡ると、大豊神社です。ここには、狛犬ならぬ狛鼠があります。向かって右側が巻物(学問を表す)を、左側が水玉(豊穣や子宝を表す)を持ち、かなりキュート。縁結びの神様としてご利益があるそうです。猿や鳶の狛もあり、小さいながらもなかなか興味深い社です。 哲学の道 大豊神社
大豊神社

哲学の道に戻ります 哲学の道に戻ります。小ぢんまりとした喫茶や雑貨屋が道沿いに見つけられます。個人宅も多く立っています。

道中にある木の道標によると少し道をそれた所に寺がある模様。路地を一歩入ると、そこは閑静な住宅街です。東山に向かっての坂道が続きます。適当に歩いていると、今が盛りと思しき紅葉に出会いました。

そこは安楽寺というお寺。境内には入れませんが、石段を染める散りもみじ、緑と赤のコントラストの美しさは思わず息を呑むほどです。いいものが見られた喜びを感じながら、道なりにさらに進むと法然院を発見。閉門時間(16時)が近く、落ち着いて拝観できませんでしたが、茅葺の門、石畳の参道などがひなびたいい雰囲気を醸しています。

そして、安楽寺~法然院沿いの道は、哲学の道にも勝るとも劣らない散歩道です。すれ違った人力車の兄ちゃんが、「ここは東山で銀閣寺とともに唯一竹林があるところなんですよ」と言うのを小耳に挟んだりして、ちょっと得した気分。哲学の道もう飽きたよ、って人にかなりおすすめです。
東山に向かっての坂道
東山に向かっての坂道
安楽寺
安楽寺
安楽寺~法然院沿いの道
安楽寺~法然院沿いの道

南北に走る哲学の道から東西の道に入ると、ひっそりとした店を発見することができます。 そんな一つがギャラリー高野

版画展という文字に惹かれて入ってみると、狭い店内にぎっしりと版画や絵が飾ってあります。優しい雰囲気の絵が描かれたポストカードなどの販売もしています。ここのおばちゃんが竹を割ったような性格の人。

「うちには来たい人だけが来てくれたらいい」そんな言葉も決して横柄なのではなく、飾ってあるもの一つ一つに思い入れがあるから、気に入れば見ていって欲しいという思いの裏返し。このようなこだわりを持ってやってはる店は、他にも見つかりそうです。
哲学の道 ギャラリー高野

哲学の道 夕闇の訪れ 日もだいぶ西に傾いてきました。あっという間に夜の帳が落ちてきます。つるべ落しで夕闇の訪れが早くなっていることを実感します。
哲学の道の北端に到着。急に冷え込んできた外気に身を震わせつつ、しかし十分に楽しむことができた今回の散歩の余韻を味わいながら帰途につきました。


凍てつく風、分厚い雲、裸の木々。冬が本番になってくるにつれ、外に出るのが億劫になりがちです。
だけどそんな時こそ散歩が楽しめるのでは、と感じた今回の散歩。
京都でも有数の観光地であるこのエリア、この時期ならば観光客も少なく自分のペースで散歩をすることができます。東山の麓のひなびた雰囲気を存分に味わえるはずです。
また京都の自然、季節の今を敏感に感じ取れる場所でもあります。犬の散歩や、小学生の下校姿など、一年の半分あるかないかの「普段」に戻った街は、表向きの顔とはまた違った魅力で迎えてくれたと思います。
できれば、時間にゆとりがある時に適当に歩いてみて下さい。寒くなってきました。そのときは、温かい格好を忘れずに。