杜若・花菖蒲・文目
新緑がまぶしい初夏の頃、草地にはアヤメ、湿地にはカキツバタが鮮やかに花を咲かせる。梅雨入りの頃から、色とりどりのハナショウブが花開く。
平安神宮の広大な池泉回遊式庭園は、南・西・中・東の4つの庭園から成り、その広さは、30,000㎡で明治時代の代表的庭園として国の名勝にも指定されています。西神苑の白虎池には、5月中旬からスイレンが咲き始め、その後、約2000株の花菖蒲が岸部を飾ります。
平安時代に醍醐天皇が創建したという古い由緒のあるお寺で、平安様式を残す氷室池はその昔、氷の厚さで豊凶を占ったという由緒ある池です。5月中旬から氷室池の水辺や中島に杜若や花菖蒲が紫や白の花を咲かせ、水面には睡蓮の紅色が風に揺れます。
上賀茂神社境外摂社「大田神社」のかきつばたは、国の天然記念物に指定されています。藤原俊成の和歌に「神山や大田の沢のカキツバタ ふかきたのみは 色に見ゆらむ」と詠われているように、その美しく可憐な姿は見るものの心を引きつけます。
梅の名所として名高い神社ですが、約3000坪の神苑ではかきつばたや花菖蒲が順に見頃を迎え、岸辺が雅な風景になります。
「蓮の寺」で有名な法金剛院。「池泉廻遊式浄土庭園」池の周りの遊歩道は紫陽花が植えられ、花菖蒲も華やかに咲いています。
曲水の宴で有名な城南宮には、四季折々の花が楽しめ、文目や杜若が見られます。
山吹
新緑が出始める頃、山吹が「やまぶき色」に染まるほど小さな花が集まる爽やかな美しさが見どころです。
松尾山を含む約12万坪の境内で、社務所の裏の渓流を御手洗川と称し、四時涸れることのない霊亀の滝がかかっています。一の井川周辺では約3,000株の山吹が咲き、山吹色の花と新緑が美しい景色です。
下鴨神社では御手洗川のそばにや楼門を望む社務所付近などでその姿を見ることができます。
射干(シャガ)
白っぽい紫のアヤメに似た花で木陰にひっそりと咲いている姿で、可愛い蝶蝶が群がって飛んでいるように見えるため、胡蝶花とも呼ばれています。
京都御苑は約5万本もの樹木が生育する自然豊かな場所です。京都迎賓館の東側、染殿井がある場所では射干の群生が目を楽しませてくれます。
天龍寺の塔頭、宝厳院は「獅子吼の庭」の紅葉がとてもきれいです。春は新緑の青紅葉に包まれ、射干の群生も見られます。
牡丹
牡丹の花は「富貴」の象徴で、「百花の王」と呼ばれています。
牡丹で有名な乙訓寺。牡丹は本山である長谷寺から2株を寄進されたのが始まりで、乙訓寺の歴代住職らの尽力により株数も年々増加し、今では約2000株もあり、春には境内を美しく彩ります。
枝垂れ桜が有名な本満寺。数年前より牡丹を育てられ、今では牡丹も有名になってきました。少し早めの頃は八重桜と牡丹が楽しめます。
新緑もあざやに美しぃなるころ、法堂の周りにたくさんの牡丹が咲きます。
一初
アヤメの中で一番早く咲くので一初という名前になったそうです。 4月下旬から5月中旬頃に咲き、乾いた土に生える。
伏見宮家第三皇女誓圓尼公によって創建された尼寺で、春の特別公開は一初の鑑賞と、本堂の下に作られた真闇の中を一周し阿弥陀様の光徳を得る「お戒壇巡り」が体験できます。
石斛(セッコク)
デンドロビウムの一種で、その性質は剛健で森林の樹木、または岩下に着生して生育する着生蘭の代表種です。
最澄(伝教大師)が比叡山に庵を結んだ時、東塔南谷に一堂を建立したのが起こりの三千院。山桜や梅の木に付いて石斛が咲いています。
ご本尊に京の七福神のひとつ毘沙門天を祀り、山科盆地を見おろす山腹に位置しています。春の桜、秋の紅葉の名所で、石斛も育てられています。
河骨
河骨は水中にある根茎が白く、ゴツゴツして骨のように見えるので河骨(かわほね)と書かれるようになり、読み方は「かわほね」から「こうほね」に変化した睡蓮(すいれん)科の植物です。
西神苑の白虎池や中神苑の蒼龍池はほとりの花菖蒲の群生と水面の睡蓮を一緒に楽しめるスポット。睡蓮の近くに小さな黄色い花の河骨も咲きます。
実光院は勝林院(寂源が天台声明を伝承するために建立した寺)の子院です。年中いろいろな草花が楽しめるところです。